分散SNSの現状まとめ

まとめきれているとは言っていない

2022年は分散SNSにとって激動の年となりました。主に終盤においてですが。
状況は非常に混沌としているので、ちょっとまとめてみたいと思います。

震源地

まずはすべての原因であるTwitterについてです。

ご存知の通り、Twitter社はイーロン・マスク氏によって買収され、非上場企業となりました。
最初に買収の話が表に出てきたのが4月で、一度は決裂したかと思いきやTwitter社側からの「買収しろ」という要求で交渉が再開し、結局10月に買収が決定しました。
その間の半年については、まだ誰もそこまでことを重大に考えていたわけではなかったように思えます。トップが変わった程度で何が変わるものでもないと高をくくっていた感じでしょうか。

しかし、買収が完了するとマスク氏は旧経営陣を軒並み解任、従業員の実に半数をレイオフしました。
ドナルド・トランプ前アメリカ大統領をはじめ凍結されていたアカウントを大量に復活させるなど、Twitter自体の運営方針にも次々手を出しはじめます。

この事態に、Twitterユーザーの間では「Twitterやばくね?」という声が上がります。従業員を大量解雇したということから、サービスが急に停止してしまうのではという噂も流れました。

そして、その「やばく」なったTwitterから逃げ出し代わりのSNSへ行こうという動きがでてきます。その代わりとして選ばれたのがMastodonでした。

MastodonはTwitterの代替か?

たしかにMastodonはTwitterの代替を目指して作られているSNSです。

Twitter buyout puts Mastodon into spotlight
The news of Elon Musk buying Twitter has put Mastodon into the public spotlight as an alternative social network, rapidly exploding our growth with over 30,000 new users in just a single day. This is because at Mastodon, we present a vision of social media that cannot be bought and owned by any bill…

これは今年4月のMastodon開発チームによる公式ブログ記事ですが、明確にTwitterの代替であると宣言しています。

We’ve been steadily working towards the ultimate goal of providing a viable alternative to Twitter since 2016

日本語訳)私達は2016年以来、Twitterに代わる実行可能な代替手段を提供するという最終目標に向けて着実に取り組んできました。

このことについてはMastodonをよく知る人々の間でも賛否が分かれるところでしょうが、ひとまずは公式の言い分を受け入れましょう。
そしてMastodonは事実同じマイクロブログとしてTwitterによく似ており、ある部分ではより高機能でもあります。

しかし、Mastodonはあくまで分散SNSの一部であり、単一企業が提供するTwitterとは根本的な設計思想が異なっています。
ただ単にTwitterからMastodonへ居を移しただけでこれまでどおりのSNSライフが送れるなどということはありえません。

避難所

では、Mastodon側ではどのような動きがあったでしょうか。

折悪しくMastodonは新バージョンのリリース時期でした。開発者であるオイゲン氏はそちらに注力しながらも、急激に話題になったためにメディアへの取材対応に駆り出されるなどかなりハードな日々を過ごしていたようです。

各サーバでは、新規登録者の波への対応に追われていました。全体で一週間のうちに何十万人も増えるというのは初めてのことで、サーバによっては受け入れきれずに新規登録を停止するということもしていたようです。
この数週間のうちに新たなサーバも立っていますが、とてもTwitterすべての人口を受け入れられるようなものではありません。

ユーザー同士の文化の違いも問題になりました。
Twitterのユーザーは良くも悪くも「お客様」です。それにひきかえ、Mastodonはただのユーザーであっても「サーバにお邪魔している」という意識の強い人が多く、あるいは自身でサーバを管理しているユーザーもいます。
Mastodonでは自助努力でどうにかすべき場面を、Twitterの「お客様」はすべて管理者への通報で対処しようとし、管理者に重大な負担をかける事態になりました。

初動からの人の流れは落ち着いた感がありますが、Twitterが混乱しているのと同じくらいMastodonも混乱していると言っていいでしょう。

その他の動き

他に目立った動きとしては、ブログサービスのTumblrがActivityPubへの対応を発表したことでしょうか。最近はアダルトコンテンツへの対応で迷走し業績不振に陥っていたようで、そちらはそちらで生き残りのための道を模索しているようです。

それから、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏が開発している新たな分散型SNS「Bluesky」についても動きがありました。
ベータテストに向けて受け付けられたウェイティングリストには48時間で3万人以上が登録したという話です。

ちなみに、今回注目されたのはMastodonのみで、PleromaやMisskeyといった他のマイクロブログ型分散SNSはほとんど話題になっていません。
私が運営しているPleromaサーバ「Pivox」も普段どおり時々新規登録がくる程度で何も変わりありません。

まとめのまとめ

・Twitterが大変
・MastodonもMastodonで大変
・当面混乱は続きそう

といったところでしょうか。
ユーザー目線では、Twitterのアカウントも残しつつどこかMastodonのサーバへお邪魔して感触をつかんでみる、Blueskyも開始後すぐアカウントがとれるよう待ち構えておく、というのが最適解だと思います。Tumblrは……どうなんでしょう。

以上です
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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