Godot公式の炎上について
末端ユーザーにはあまり関係ないです
先日、GodotのX(旧Twitter)公式アカウントが炎上しました。きっかけは以下の投稿です。
”Woke”というのは”目覚める”という意味の英語Wakeの過去形からきているスラングで、人種差別などの偏見から目覚めたという意味のいわゆるポリコレ用語です。
「”目覚めた”ゲームエンジンであるところのGodotで作られたゲームをリプライで紹介してください」というような内容ですね。
これに対して、ポリコレに反発する人や政治的イデオロギーの発露を嫌う人から批判が出ました。真っ当な批判だけであればまだよかったのですが、エスカレートした嫌がらせも発生し、面白がって取り上げる人も大勢現れて炎上騒動となってしまいました。
そしてGodot公式は明確な嫌がらせをした人だけでなく批判的な言動を行なった人たちも軒並みブロックしてしまいました。そのせいでより炎上が大きくなったようにも思います。
その後出てきたGodot財団の声明が以下です。
要約すると、Xでのポストに対して嫌がらせがあったのでブロックしたところ必要のない人まで誤ってブロックしてしまった、それについてはフォームを用意したので解除の申請をしてほしい。Godotはあらゆる差別に反対している。そんな感じですね。
Godotはもともとリベラルな人たちによるプロジェクト/コミュニティという面があります。OSSはそもそもそういう気風になりがち、ということもありますが、Godotでは特に今年のプライド月間にXのアイコンを虹色に変えてLGBTを歓迎するというような態度も示していました。
今回問題となった投稿もそのような流れの中で出てきた、あまり深刻ではないもの、言ってしまえば半分ジョークのようなものであったようです。
ただ、Wokeという言葉とそれにまつわる活動は本来それを支持するであろうリベラルやマイノリティの人々からも批判を受けることがある、いささか問題のある言葉であるようで、そういう意味で公式はちょっと軽率な発言をしてしまったかなと思います。
個人的には、単にそういう思想の人たちが開発しているというだけなら何も問題ではないと思います。重要なのは成果物としてのゲームエンジンがゲームエンジンとしてどれだけ優れているかであって、開発者の思想は関係ありません。
しかし、公式アカウントを使って広報をするのであればゲームエンジンの性能や利点を語るべきであり、政治的な正しさ云々については中の人の個人アカウントでやるべきでしょう。
公式に政治的なイデオロギーを発信し、ゲームエンジンにその色をつけるというのは正直やめてほしいです。
近年になって急激なユーザーの増加を経験しているGodotは、まだそのことに対応できていないように見えますが、これからは大勢のユーザーがいてその中にいろいろな思想を持った人がいるということを理解したうえで情報発信を行なってほしいと思います。
ちなみに、今回の件でいくつかGodotのフォークが生まれていますが、開発のコアメンバーがそれらのフォークへ移行するというような話は全くないそうです。末端ユーザーからすれば今のままGodotを使い続けて問題ない、というか迂闊に活動基盤の弱いフォークへ移るのはやめておいたほうがいいでしょう。
こんなことに気を取られず、心置きなくゲーム制作がしたいものですね。
参考リンク
(※Godot JapanはGodot財団とは無関係の非公式な日本語ユーザーコミュニティです)
以上です
ここまでお読みいただきありがとうございました。
よろしければ購読をお願いします。