ゲーム販売プラットフォームへの金融検閲に対する抗議
とにかくやめろ
先日、Steamおよびitch.ioにおいて成人向けゲームの削除や非表示などの対応が行われました。


これらは、詳細は不明ですがオーストラリアの人権団体「Collective Shout」が展開した”不適切な”ゲームに対する抗議キャンペーンをきっかけとして、決済代行業者からの圧力を受けてのものと見られています。
真偽はともかく、私はそうしたお金の流れを握ることで事実上の表現規制を行なういわゆる「金融検閲」に断固として反対する立場です。
表現の自由は自由・民主主義的世界観において最も重要な守るべき権利のひとつであり、たとえエログロのような大勢の人間が顔を顰めるコンテンツであってもそれは変わりません。
そして、現在の世界においてその権利を侵そうとするのは国家権力だけではなく、経済的・社会的関係において優越した地位にある様々な人・団体がそれを行ない得ます。
ひとつの表現規制を許せばそれはそこからどんどんとエスカレートし、やがて世界は一部の発言力ある人間が好む”適切な”表現しか存在することを許されないものとなってしまうでしょう。
たとえ今自分の好む表現が規制されようとしていなくとも、表現を規制するという行為そのものに断固として抗議しなくてはいけません。
ところで、こうしたことが起こる根本的な原因として利便性の高い電子決済の手段が大企業に支配されているという点があります。
本来、決済の手段の基本は現金であり、それは国が管理して強制通用力を持っています。そして現金は物理的なトークンであるため国家権力が取引を監視して特定の決済をやめさせることは事実上困難です。
しかし、クレジットカード等による電子決済はそのインフラ部分を企業が管理しているため簡単に特定の決済を差し止めることができてしまいます。
そしてその企業が独自の思想で、あるいは圧力団体の要望に従って特定の表現に関する決済を差し止めてしまえば金融検閲のできあがりです。
そうした問題に対抗するためGNU Talerのような自由で匿名性の高い電子決済サービスが開発されてはいますが、こちらは最近正式版がリリースされたばかりで実用的な普及段階にはまだ届いていません。
いつの日か自由を愛する人々が金融検閲の不安から解放されるときがやってくるかもしれませんが、それは今ではありません。それまでの間は、いつ降りかかるかわからないそれに対して常に気を配り、反対を表明し続ける必要があります。
日本国憲法第十二条にあるとおり、我々は自由のために不断の努力を欠かすことはできないのです。
以上です
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