「魔法のおなべ」を読んで
次回作まってます
「伽藍とバザール」「ノウアスフィアの開墾」に続いて、エリック・レイモンドのオープンソース3部作(4部作とされるが4作目は未発表)の最終作である「魔法のおなべ」を読みました。
例によって青空文庫で読めます。
この「魔法のおなべ」はオープンソースソフトウェアで企業や個人がいかにして収益をあげるかという部分について書かれているのですが、前2作と違って私の心には響いてきませんでした。
単純に前2作よりももっと複雑な話をしていて私が十分に理解できていないというところもあるかもしれませんが、理論の組み立て方が雑というか無理やりというか、そんなようにも感じたのです。
ただ、概要にあった「パトロン制の再発明」という言葉は(本文中でしっかりとした説明があったようには思えませんでしたが)未来予測という点ではかなりいい線をいっていると思いました。現代では企業がオープンソースプロジェクトを支援するということは普通に行われていますし、GitHub Sponsorsのような支援の仕組みも四半世紀前からすれば別世界と言っていいほど充実していますし、人々の意識も無料で使えるものに対して支援をしようというふうに変わってきているように思います。
そういう意味ではオープンソースから収益をあげる「魔法のおなべ」は現代において存在していることになるかもしれませんが、その正体は「ノウアスフィアの開墾」ですでに語られていた「贈与文化」の拡大でしかないようにも思えます。
まあ、1999年の段階でそこまで未来を予測しろというのが土台無理な話と言ってしまえばそれまでですが、ここまで「伽藍とバザール」「ノウアスフィアの開墾」と読んで高まった期待が裏切られてしまった感は否めません。
なんとも消化不良で終わってしまいましたが、とにかくこれで「エリック・レイモンドを読んでいない」という誹りを受けることなく(誰もそんなこと思っていないでしょうが)大手を振ってオープンソースソフトウェアを布教していけるでしょう。
今後も気になった論文等あれば読んでみたいと思います。
以上です
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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